旧コラム

第3回 開封したら返品できないと言われてしまった・・・

財団法人日本消費者協会 消費生活コンサルタント 広重美希

ご相談内容

インターネットショッピングでブラジャーを購入しました。このブラジャーは、シリコン素材で素肌に直接つけて使用するもの。弾力性や粘着性により身につけられ、ストラップ(肩ひも)や、腋から背中にまわすベルトなどがないのが特徴です。カップ型のシリコン2つを装着し、胸のまん中に寄せてホックでとめて固定して使うので、バストラインを美しく見せることができる上、ストラップやベルトがないので肩や背中を露出するファッションに対応できる人気の商品だったので購入しました。
1点だと6,000円、2点買うと9,800円ということだったので、2点注文しました。しかし、後になって友人からこのブラジャーは「うまくつけるのが案外むずかしい」ということを聞ききました。届いた品は1点ずつの箱入りになっていて、箱を開けると、ブラジャーはポリ袋に入っていました。試しにポリ袋に入った状態のままつけてみましたが、友人の言うとおり、簡単には装着できないことがわかりました。結局、きちんとつけられるかが不安になり、開封しないまま返品することにしました。
ネットショップに連絡すると、ポリ袋は開けていなくても、箱を開封したら返品は受けつけない、と言われてしまいました。開封していない1箱は返品を受けられるが、開封した方は受けられず、購入したのが1点の扱いになり、返金できる金額は、3,800円とのこと。ポリ袋をあけていないのだから、開封前として全額返してほしいと思っています。
(東京都在住・20代女性・C子さん)

コンサルタントの解説

この相談を受けて、返品条件をもう一度確認すると返品・交換について「商品到着後10日以内未使用・未開封の商品に限り、返品を受け付けます。お客様のご都合による運賃・送金手数料はご負担をお願いします」となっていました。
このケースでは「未開封」というのが、どの状態をさすのかを話し合いました。ショップの説明では「『箱』を開封した時点」で、相談者の解釈は「ポリ袋の開封」ということでした。
「下着を装着後は、商品として扱えないので返品は不可」というのが、事業者間では常識になっているようです。しかし「箱を開封しても、ポリ袋を開封していないのなら、商品価値としては問題ないのではないか。箱代など多少のキャンセル料を支払っても返品したい」という相談者の言い分を伝えました。
「未開封」がどの状態をさすのかが消費者にとってわかりにくく、ポリ袋の上からの装着は試着であり商品価値に問題がないのではないかと交渉しました。
しかしショップからは認められず、広告の表示を「外箱を開封後は」と変えることになりました。消費者に解約する権利があるわけではないことから、相談者は納得しました。

消費者の皆様へ

返品条件を見て、曖昧な点があれば、購入前や箱を開ける前に、直接ショップに確認しましょう。
今回のような「開封後は返品できない」という場合は、試着はできないのか、サイズや色を確かめることができないのか、などを、「箱を開ける前」に確認することが大切です。

ネットショップ事業者の皆様へ

法律では「返品特約」(返品条件や可能・不可能など)について、表示が義務づけられています。表示が無い場合は、無条件に8日間の返品が可能になる予定です(法改正)。
返品条件や費用などは、お客様の誤解を招かないようわかりやすく、「特商法に関する表記」などに記載しましょう。

財団法人日本消費者協会

消費者のための情報提供や啓発などを行ったり、消費者の声を生産者や流通業者、行政、業界団体等に伝える公益法人です。かしこい消費者になるための「消費者力検定」を実施したり、生活に関する苦情、相談も受け付けています。

消費者相談室

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