旧コラム

第2回 未成年者の取消しに高額な違約金請求・・・

財団法人日本消費者協会 消費生活コンサルタント 広重美希

ご相談内容

ネットオークションで中古のパソコンがでているのを見つけました。ネットオークションに参加するのは初めてですが、「そんなに安い金額では落札はできないかもしれない」と思いながらも、お試しに15,000円で入札しました。「15,000円で入札したので、それ以上高額にはならないだろう」と思っていたら、後日、「10万円であなたが落札した」という連絡がきました。
事情をメールで尋ねると、最高入札額ではなく、15,000円は最低入札額で自動的に500円ずつ、つり上がっていくシステムだったと、わかりました。そんなには支払えず未成年者なので、この契約を取り消したいと思い、事業者に連絡を取りました。 すると、「未成年者は親の同意を得てから入札することになっている。入札した時点で親の同意があったと理解しているので、キャンセルには応じられない。」とメールの返信がありました。
(東京都在住・10代男性・B雄さん)

コンサルタントの解説

このケースでは、入札と落札のシステムがわかりにくかったようです。高校生のB雄さんは入札価格を入れると、それ以上の金額で落札することにはならないと思い込んでいたようです。
実際には自動入札システムをとっていて、一度金額を入れると自動的に5,000円ずつ上がっていき、何もしないと最高金額の10万円にまで上がってしまうという仕組みでした。これをよく理解していなかったB雄さんは15,000円を超えて落札する羽目になるとは、考えていませんでした。
オークションを運営していたのは、国内の事業者でしたが、中古パソコンを扱うための「古物商」としての許可を取ってはなく、また、B雄さんは未成年者であることを知りながら、親の同意を直接とっていませんでした。そこで、未成年者であることを理由に取消しをするための葉書を出しました。
結局、本人からの連絡だけではうまく解決がつかず、相談窓口から連絡をしました。親の同意があるかないかは、契約者が未成年者のような場合、金額もわからないこのようなシステムで入札時には判断できません。10万円という高額になることが予めわからないようなこともあり、事業者がとるべきと交渉しました。
その結果、親の同意をはっきりとらない上での契約だったことが認められ、取消しに応じられました。

消費者の皆様へ

ネットショッピングに限らず、未成年者契約は契約成立後も取消しできます。
ただし、未成年者なのに成人だと取引相手をだましたような場合、お小遣いの範囲の契約、親の同意があるような場合、結婚している場合には取消しできなくなります。
ネットで中古品を購入する場合の取引先として、信頼できるかどうかを判断するためには、以下のような記載が必要です。
例:販売価格、支払い時期及び方法、引渡し時期、返品の特約に関する事項、販売業者名・住所・電話番号、申し込み有効期限、瑕疵担保責任に関する特約、古物商としての許可番号 東京都公安委員会第○○○○○○○○○○○○号
メールアドレスや携帯電話の番号しかわからないような取引先は避けたほうがよいでしょう。

ネットショップ事業者の皆様へ

オークションへの出品であっても、同種の商品を複数回や一定期間などに渡って出品する場合は、事業者とみなされます。事業者として、特定商取引法に従い、本名、住所、電話番号などの表記が必要となります。 未成年者と知りながら契約してしまうと、法律上は取消しの対象となります。未成年者が対象となるような商品を多く扱っている場合は、購入の際に、未成年者かどうかのチェック欄を設け、保護者同意の有無を確認するなどの対応があると、ショップもお客様も安心です。お酒などは、未成年者飲酒防止の法律があり、「未成年の方は購入できません」などの表記も必要となりますのでご留意ください。
財団法人日本消費者協会 消費生活コンサルタント 広重美希

財団法人日本消費者協会

消費者のための情報提供や啓発などを行ったり、消費者の声を生産者や流通業者、行政、業界団体等に伝える公益法人です。かしこい消費者になるための「消費者力検定」を実施したり、生活に関する苦情、相談も受け付けています。

消費者相談室

電話:03-5282-5319
受付時間:月曜~金曜 10:00~12:00/13:00~15:00(土日祝日を除く)

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