旧コラム

第1回 解約条件が変更されてしまった・・・

財団法人日本消費者協会 消費生活コンサルタント 広重美希

ご相談内容

ネットオークションで約8,000円のワンピースを見つけました。オークションでは「返品は受け付けない」という条件付でしたが、ワンピースが届いて気に入らなかったら返品したいと思っていたので、出品者に相談しました。
すると出品者は、「実はネットショップも経営していて、そちらでは12,800円での販売になりますが、気に入らなかった場合は返品を受け付けています。」とのことでした。
ホームページを確認すると確かにそうなっていたので、ネットショップから買うことにして申し込み、12,800円を振込みました。そして数日後。送られてきたワンピースを見ると、ネットで見たものより安っぽかったので、返品することにしてその旨メールで連絡しました。
すると、「契約条件として返品は受け付けない」ことをホームページに記載しているので、返品は受け付けないと断られました。そんなはずはないとホームページをもう一度確認したところ、「返品は受け付けない」と解約条件が変更されていました。
(東京都在住・20代女性・A子さん)

コンサルタントの解説

購入する前と後で、ホームページでは「返品を受け付ける」 という条件だったものを、A子さんがお申し込みをした後で「返品を受け付けない」と解約条件を変更したものと考えられます。 また、お申し込みした時点での条件が、A子さんとネットショップとの契約内容と考えられ、当然返品は受け付けられるものと考えられます。
今回、A子さんはお申し込み時点で約款などのプリントアウトやダウンロードをしていなかったので、証拠が手元に残されていないという状況でした。
しかし、消費者相談においては、事実関係が最も重視されます。ネットオークションでは返品できないので、返品できるという理由で約4,000円も高いのにネットショップを利用したというA子さんの言い分に信憑性が感じられたため、ネットショップにその旨を伝えて事情を尋ねました。
その結果、ホームページの解約条件の変更については率直に認めたわけではありませんでしたが、返送料を負担すれば返品を受付けるということになりA子さんは返品しました。

消費者の皆様へ

ネットショッピングに限らず、契約内容について双方の合意があって初めて契約は成立します。この契約条件についての誤解や勘違いに関する消費者相談は非常に多くなっています。
ネットショップがこのようなケースで返品に応じない場合は「錯誤無効」などの交渉の余地があったと考えられます。消費者もこのようなトラブルが起こるのがネットの特性であると心得て、契約条件をプリントアウトするなど証拠を残すことが大切です。

ネットショップ事業者の皆様へ

返品条件は、お客様の安心のための条件です。不良品は当然ですが、良品でもお客様の都合でも返品できるのかできないのか、できる場合の条件や費用、などを、「特定商取引法にもとづく表記」のページに明記しましょう。
2008年6月の法改正で、返品の可否・条件を表示していない場合は、8日間、送料消費者負担で返品(契約の解除)が可能ということになりました【改正特商法第15条の2】。施行は今年中ですが、お客様に安心してお買物をしていただけるように、返品条件や表記の見直しをお勧めします。
財団法人日本消費者協会 消費生活コンサルタント 広重美希

財団法人日本消費者協会

消費者のための情報提供や啓発などを行ったり、消費者の声を生産者や流通業者、行政、業界団体等に伝える公益法人です。かしこい消費者になるための「消費者力検定」を実施したり、生活に関する苦情、相談も受け付けています。

消費者相談室

電話:03-5282-5319
受付時間:月曜~金曜 10:00~12:00/13:00~15:00(土日祝日を除く)

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